板に穴を開けて丸棒を通せば、それだけで軸は回ります。ではなぜ、世の中の機械にはわざわざベアリングが入っているのでしょうか。皆さんも一度は、この素朴な疑問を持ったことがあるはずです。
先に結論をお伝えします。穴に軸を通した構造は、それ自体がすでに「すべり軸受」という立派な軸受です。ベアリングが要るかどうかは、部品の見た目ではなく、面圧・すべり速度・PV値という3つの数字が境界を決めます。そしてこの境界は、電卓で3分あれば計算できます。
つまり「ベアリングは必要か」という問いの立て方自体が、少しずれています。正しい問いは「この条件で、すべり軸受のままでいけるか」です。
この記事では、穴と軸だけで回らなくなる3つの理由を検証したうえで、すべり軸受と転がり軸受の違いを6項目で比較し、PV値でベアリングの要否を判断する4ステップまで解説します。読み終わる頃には、「とりあえずベアリングを入れておく」という設計から卒業できているはずです。
すべり軸受を知らないまま「ベアリングは必要か」で悩んでいませんか

まず、この疑問を持ったこと自体が、設計者としてかなり良い筋だということをお伝えしたいと思います。
私が設計を始めて1年目の頃、簡単な点検用カバーのヒンジを設計しました。板に穴を開けて、軸を通して、止め輪で抜け止めをする。それだけの構造です。図面を出したとき、先輩から聞かれました。
「ここ、ベアリング入れなくて平気?」
答えられませんでした。入れなくても回ることは分かります。でも「平気」の根拠がない。かといって、こんな小さなヒンジにボールベアリングを入れるのも大げさに思える。結局「たぶん大丈夫です」としか言えず、その曖昧さがずっと引っかかっていました。
同じような場面で、皆さんも次のような迷い方をしていないでしょうか。
- 回転部を見るととりあえずベアリングを入れてしまい、コストが膨らむ
- 逆にベアリングを省いたとき、それでいいのか自信が持てない
- 「すべり軸受」という言葉は知っているが、いつ使うのか分からない
- 先輩に「ここは軸受要らないよ」と言われても、判断基準が読み取れない
判断できないのは知識が足りないからではなく、判断に使う「物差し」を教わっていないからです。その物差しが、これから紹介するPV値です。まずは、そもそもすべり軸受とは何なのかというところから整理していきましょう。
すべり軸受の正体|穴に軸を通した時点で、それは軸受です

軸受とは「機構」ではなく「機能」の名前
多くの初心者設計者が誤解しているのは、軸受を「部品」だと思っている点です。カタログに載っていて、型番があって、購買部に発注するもの。そういうイメージがあると思います。
しかし軸受とは本来、機能の名前です。JISでは軸受を、回転または直線運動する相手部品を受けて支持する機械要素として位置づけています。つまり「軸を支えて、なめらかに動かす」という役割を果たしていれば、それは軸受です。
この定義に照らすと、板に開けた穴に丸棒を通した構造も、間違いなく軸受です。軸が穴の内面を「すべり」ながら回転しているので、分類上はすべり軸受(滑り軸受、プレーンベアリング)に当たります。
ここが重要なポイントです。
「ベアリングを入れていない」のではありません。「すべり軸受という種類の軸受を使っている」のです。
この言い換えができるようになると、設計の判断が一気にクリアになります。ベアリングの有無という0か1かの選択ではなく、「すべり軸受と転がり軸受、どちらの軸受が適しているか」という比較の問題に変わるからです。
世の中はすべり軸受だらけ
意外に思われるかもしれませんが、身の回りにはすべり軸受が大量に使われています。
- ドアの蝶番(ヒンジ)
- 自転車のブレーキレバーの支点
- ハサミの中心のねじ
- エンジンのクランクシャフト(大きな荷重を受ける主軸受)
- 建設機械のアームの関節部(ブッシュ)
最後の2つに注目してください。エンジンのクランクシャフトも、油圧ショベルのアームも、決して「軽い用途」ではありません。大荷重・低速の領域では、転がり軸受よりすべり軸受のほうが有利になる場面が確実に存在します。
つまりすべり軸受は、ベアリングの簡易版でも下位互換でもありません。得意な領域が違う、別の選択肢です。この認識を持てるかどうかが、最初の分かれ目になります。
穴と軸だけでは回らなくなる3つの理由(独自検証)

とはいえ、板に穴を開けて軸を通しただけの構造が、どんな条件でも使えるわけではありません。ここでは「単純な穴+軸」がどこで破綻するのかを、3つの理由に分けて検証します。
理由①:摩擦係数が2桁違う
まず、摩擦の大きさを比べてみます。
ジェイテクト(Koyo)の技術資料によれば、深溝玉軸受の摩擦係数μは 0.0010〜0.0015 とされています。一方、潤滑されたすべり軸受の摩擦係数は一般に 0.01〜0.02程度、条件によっては 0.1〜0.2 にもなるとされます(ミスミ技術情報)。
無潤滑の鋼と鋼が直接こすれる場合、つまり「穴に軸を通しただけ」の状態は、さらに厳しい側に振れます。
具体的な数字で見てみましょう。軸径φ10、荷重100Nの条件で、摩擦トルクを比べます。摩擦トルクは「摩擦係数 × 荷重 × 軸半径」で概算できます。
| 条件 | 摩擦係数μ | 摩擦トルク |
|---|---|---|
| 深溝玉軸受 | 0.0015 | 約0.00075 N・m |
| 潤滑されたすべり軸受 | 0.02 | 約0.010 N・m |
| 無潤滑の鋼×鋼(穴+軸) | 0.15(目安) | 約0.075 N・m |
上下で 約100倍 の開きがあります。手で回す機構なら「少し重い」で済みますが、小型モーターで駆動する場合、この差がそのまま必要トルクの差になります。モーター選定でつまずく原因の多くは、軸受の摩擦を見積もっていないことにあります。
なお、無潤滑の鋼×鋼の摩擦係数は表面状態や面圧で大きく変動するため、上表の0.15はあくまで感覚をつかむための目安です。実機の検討では、使用する材料の技術資料に当たってください。
理由②:摩擦熱が逃げ場を失う
摩擦は熱に変わります。そして熱は、すべり軸受にとって最大の敵です。
先ほどの無潤滑の例で、回転数100rpmのときの発熱量を計算してみます。角速度は100rpm ≒ 10.5 rad/sなので、発熱量は摩擦トルク×角速度で求まります。
0.075 N・m × 10.5 rad/s ≒ 0.79 W
0.79Wと聞くと小さく感じますが、これが接触面という極めて狭い範囲で発生し続ける点が問題です。回転数を1,500rpmに上げれば、単純計算で発熱は約12Wになります。小さな穴の内面で12Wのヒーターを焚いているのと変わりません。
温度が上がると何が起きるか。金属は膨張してすきまが減り、摩擦がさらに増え、発熱が加速します。この悪循環が行き着く先が焼き付きです。軸と穴が溶着して、回転そのものが止まります。
私自身、この悪循環を実機で見たことがあります。試作した搬送治具のガイドローラーを、コスト削減のために樹脂ブッシュで受けました。単体テストでは問題なく回っていたのに、連続運転に切り替えて30分ほど経った頃、回転が明らかに重くなりました。触ると熱い。止めて分解してみると、ブッシュの内面が溶けて軸に貼り付いているではありませんか。
原因は単純でした。単体テストは断続運転で、発生した熱が休止中に逃げていたのです。連続運転にした途端、放熱が追いつかなくなりました。PV値が同じでも、連続か間欠かで結果は変わります。カタログの限界PV値は、多くの場合「放熱条件が確保されている前提」の数字だという点を忘れないでください。
すべり軸受の設計とは、突き詰めれば「発熱と放熱の釣り合いをどこで取るか」の設計です。
理由③:摩耗がすきまを広げ、精度が失われる
3つ目は、時間の経過とともに進行する問題です。
すべり軸受は、面と面が接触したまま動きます。当然、少しずつ摩耗します。摩耗すると穴が広がり、軸とのすきまが増え、ガタが出ます。
ガタが出るとどうなるか。位置決め精度が落ちるだけでなく、荷重が一点に集中して摩耗がさらに加速します。ここでも悪循環が発生します。
一方、転がり軸受は転動体が転がって荷重を伝えるため、同じ場所がこすれ続けることがありません。寿命の考え方そのものが違うのです。転がり軸受は疲労による寿命(計算で予測できる)、すべり軸受は摩耗による寿命(条件次第で大きく変わる)と整理すると理解しやすいと思います。
この3つの理由は、すべて同じ根から出ています。すべり軸受は面で接触するため、摩擦・発熱・摩耗が避けられません。だからこそ、その限界を数字で押さえる必要があります。
すべり軸受と転がり軸受の違いを6項目で比較

3つの理由を踏まえて、2種類の軸受を正面から比較します。ここを押さえておくと、選定の勘所がつかめます。
| 比較項目 | すべり軸受 | 転がり軸受(ベアリング) |
|---|---|---|
| 摩擦係数 | 0.01〜0.2程度(潤滑状態で大きく変動) | 0.001〜0.0035程度 |
| 得意な回転数 | 低速〜中速 | 中速〜高速 |
| 得意な荷重 | 大荷重・衝撃荷重に強い | 荷重は転動体の点・線接触で受けるため衝撃に弱い |
| 必要スペース | 小さい(穴+ブッシュだけ) | 大きい(外輪・内輪・転動体の厚みが要る) |
| 静粛性 | 静か | 転動音が出る |
| コスト | 安い(穴加工のみなら追加コストゼロ) | 部品代+はめあい精度の加工費がかかる |
この表から読み取れる本質は、次の一点に集約されます。
すべり軸受は「低速・大荷重・省スペース・低コスト」に強く、転がり軸受は「高速・低摩擦・長寿命」に強い。
だからエンジンのクランクシャフトはすべり軸受なのです。回転数は高いものの、燃焼による強烈な衝撃荷重を受け、かつ限られたスペースに収める必要がある。この条件では、油膜で支えるすべり軸受のほうが合理的です。
逆に、モーターの回転子のように高速で回り続け、荷重が比較的軽い用途では、転がり軸受が圧倒的に有利になります。軸受の種類ごとの特性はベアリングの種類と選び方で整理していますので、あわせてご確認ください。

すべり軸受にも3つの種類があります
「すべり軸受」とひとくくりにしましたが、実務で選ぶ際は次の3タイプから選ぶことになります。それぞれ得意分野が異なります。
| タイプ | 中身 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 穴に軸を直接通す | 追加部品なし。母材そのもの | 手動操作・ごく低速・低荷重 | 摩耗したら母材ごと交換になる |
| 焼結含油軸受 | 多孔質の金属に潤滑油を含ませたもの | 小型モーター周り・給油しにくい箇所 | 含んだ油が尽きたら寿命。高温に弱い |
| 樹脂・複合材ブッシュ | 樹脂や特殊材を筒状に成形したもの | 無給油で使いたい箇所・水中や薬品環境 | 温度で寸法が変わる。金属より熱に弱い |
この中で初心者が最も選びがちなのは、真ん中の焼結含油軸受です。安価で、給油機構が不要で、カタログから寸法を選べます。ただし「含油」という名前から無限に油が出てくると誤解されやすい点には注意してください。含まれている油の量は有限で、高温や高PV値の条件では想定より早く消耗します。
3タイプのどれを選ぶにせよ、共通して効いてくるのが相手軸の面粗さです。軸側がざらついていると、いくら良い軸受材を選んでも相手を削ってしまいます。軸受選定でつまずく典型的なパターンは軸受の選定をなぜ間違えるのかにまとめました。

なお、すべり軸受を採用する場合でも、穴の寸法をどう指示するかは別の設計判断になります。すきまが小さすぎれば焼き付き、大きすぎればガタが出ます。この寸法の決め方ははめあい公差の選び方で解説しています。

すべり軸受の要否をPV値で判断する4ステップ

ここからが本題です。「この条件ですべり軸受のままいけるか」を数字で判断する手順を示します。使うのはPV値という指標です。
PV値とは、面圧Pとすべり速度Vを掛け合わせた値で、摩擦熱の発生量を表す目安として使われます。前章で見たとおり、すべり軸受の敵は発熱です。その発熱の大きさを1つの数字に集約したものが、PV値だと理解してください。
ステップ1:面圧Pを求める
面圧は、荷重を「軸の投影面積」で割って求めます。投影面積とは、軸径×軸受の長さのことです。
P[MPa]= 荷重 W[N]÷(軸径 d[mm]× 軸受長さ L[mm])
軸径φ10、軸受長さ10mm、荷重100Nなら、次のようになります。
P = 100 ÷(10 × 10)= 1.0 MPa
ステップ2:すべり速度Vを求める
すべり速度は、軸の外周が1分間に進む距離です。
V[m/min]= 軸径 d[mm]× π × 回転数 N[rpm]÷ 1000
回転数100rpmなら、こうなります。
V = 10 × 3.14 × 100 ÷ 1000 = 約3.14 m/min
ステップ3:PV値を計算する
2つを掛けるだけです。
PV = 1.0 × 3.14 = 約3.14 MPa・m/min
ステップ4:許容値と比べる
求めたPV値を、材料ごとの許容値と比較します。日本粉末冶金工業会が公開している焼結含油軸受の目安は次のとおりです。
| 軸受材質 | 許容面圧 | 限界PV値 |
|---|---|---|
| 銅系 | 10 MPa 以下 | 100 MPa・m/min |
| 鉄銅系 | 15 MPa 以下 | 150〜200 MPa・m/min |
(出典:日本粉末冶金工業会「焼結含油軸受 よくあるご質問」)
先ほどの例はPV値3.14でした。銅系の限界100に対して30分の1以下です。この条件なら、ベアリングを入れる必要はまったくありません。穴に軸を通すか、安価なブッシュを1つ入れれば十分です。
条件を変えると境界が見えてくる
同じφ10・軸受長さ10mmで、条件を振ってみます。
| 条件 | 荷重 | 回転数 | P | V | PV値 | 判定(銅系基準) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ① 手動ヒンジ | 100 N | 100 rpm | 1.0 MPa | 3.14 m/min | 約3.1 | 余裕十分 |
| ② 低速搬送ローラー | 100 N | 1,500 rpm | 1.0 MPa | 47.1 m/min | 約47 | 使えるが余裕は少ない |
| ③ 高速・高荷重 | 500 N | 1,500 rpm | 5.0 MPa | 47.1 m/min | 約236 | 限界超過。転がり軸受へ |
境界がはっきり見えたと思います。荷重が5倍になり回転数が15倍になると、PV値は約75倍に跳ね上がり、一気に限界を超えます。逆に言えば、条件が①のような領域にあるなら、ベアリングを入れるのは過剰設計です。
計算は電卓で3分です。「たぶん大丈夫です」と言うか、「PV値3.1で限界の30分の1なので問題ありません」と言うか。この差が、設計者としての説得力を決めます。
なぜ転がり軸受が「標準」になったのか|現場の事情と選定アクション

ここまで読んで、ひとつ疑問が残っているはずです。すべり軸受がそれほど有効なら、なぜ現場では「とりあえずベアリング」が主流なのでしょうか。
理由は技術ではなく、設計プロセスにあります
私が現場で見てきた限り、理由は3つあります。
第一に、転がり軸受は寿命が計算式で出せることです。基本動定格荷重から寿命時間を算出でき、設計審査で根拠を示しやすい。一方すべり軸受の摩耗寿命は、相手材の面粗さや潤滑状態に強く左右され、カタログの数字だけでは決まりません。説明のしやすさが採用を後押ししています。
第二に、カタログから型番を選べば設計が終わることです。すべり軸受は、材質の選定、はめあいの決定、潤滑方法の検討、相手軸の面粗さ指示までを自分で組み立てる必要があります。手間が違います。
第三に、これが最も見落とされている点ですが、規格の裏付けが薄いことです。焼結含油軸受を規定していた JIS B 1581 は、1995年3月1日に廃止されています。つまり現在、焼結含油軸受の寸法や性能を定めた現行のJIS規格は存在せず、設計根拠はメーカーのカタログや技術資料に求めるしかありません。
「規格に書いてある」と言えないことが、すべり軸受を選びにくくしている隠れた理由です。この事実を知っている設計者は、決して多くありません。
もっとも、規格がないことは「使ってはいけない」を意味しません。メーカーの技術資料を出典として明示し、PV値で根拠を示せば、設計審査は通ります。要は、根拠の置き場所が変わるだけです。
明日から使える選定アクション
回転部の設計に出くわしたとき、次の順で判断してみてください。
- まず、その部分がすでにすべり軸受として成立していないかを確認する(穴+軸の構造になっていないか)
- 荷重・回転数・軸径・軸受長さの4つの数値を書き出す
- P、V、PV値を計算する(電卓で3分)
- 限界PV値と比べ、10分の1以下なら単純な穴+軸、10分の1〜2分の1ならブッシュを追加、超えるなら転がり軸受を検討する
- 連続運転か、間欠運転かを確認する(間欠なら放熱の余裕が生まれ、判定は緩められます)
- 選定根拠として、使用した技術資料の出典名を図面または計算書に残す
4番目の切り分けは、私が現場で使っている実務的な目安です。規格で決まった数字ではないため、重要部位では必ずメーカーに確認してください。ただ、最初の当たりをつける物差しとしては十分に機能します。
なお、すべり軸受を選ぶ場合、潤滑の設計が寿命を左右します。給油できない構造にしてしまうと、含油軸受の油が尽きた時点で寿命が来ます。潤滑油の基礎知識を押さえたうえで、メンテナンス方法までセットで決めておくことをおすすめします。

まとめ|すべり軸受は「ベアリングの下位互換」ではありません
すべり軸受とベアリングの境界について、要点を整理します。
- 穴に軸を通した構造は、それ自体がすべり軸受である。「軸受なし」という状態は存在しない
- 穴と軸だけで破綻する理由は3つ。摩擦係数が2桁違う・摩擦熱が逃げない・摩耗ですきまが広がる
- すべり軸受は低速・大荷重・省スペース・低コストに強く、転がり軸受は高速・低摩擦・長寿命に強い
- 要否の判断にはPV値を使う。P=荷重÷(軸径×軸受長さ)、V=軸径×π×回転数÷1000
- 焼結含油軸受の限界PV値の目安は、銅系で100、鉄銅系で150〜200 MPa・m/min(日本粉末冶金工業会)
- 焼結含油軸受のJIS規格(JIS B 1581)は1995年に廃止済み。設計根拠はメーカー技術資料に求める
そして、この記事を通して最もお伝えしたかったのは次のことです。
「ベアリングを入れるかどうか」ではなく、「どの軸受で受けるか」と考えてください。
この問いの立て方に変えた瞬間、選択肢は2つに増えます。そして2つを比べるには基準が要る。その基準がPV値です。基準を1つ持つと、設計は「経験と勘の世界」から「説明できる世界」に変わります。
冒頭でお話しした点検カバーのヒンジに、私は結局ベアリングを入れませんでした。判断は正しかったのですが、当時の私は正しい理由を説明できませんでした。いま同じ図面を出すなら、こう言えます。「PV値は3程度で、限界の30分の1です。すべり軸受で十分です」と。
同じ結論でも、根拠を持って言えるかどうかで、設計者としての立ち位置はまったく変わります。
とはいえ、こうした判断基準をひとりで積み上げていくのは簡単ではありません。何を物差しにすべきか、いまの環境で本当に力がつくのか、この先どんなスキルを積むべきか。社内では相談しにくい悩みもあると思います。
同じ道を歩いてきた設計者と、一度話してみませんか。頭の中の漠然とした不安は、言葉にした瞬間に、解決できる課題に変わります。
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参考資料・出典
- 日本粉末冶金工業会「焼結含油軸受 よくあるご質問」(許容面圧・限界PV値)
- ジェイテクト(Koyo)「軸受の摩擦係数(参考)」(転がり軸受の摩擦係数)
- ミスミ技術情報「ボールベアリング(転がり軸受)と滑り軸受の違い」(すべり軸受の摩擦係数)
- JIS B 1581 焼結含油軸受(1976年制定・1995年3月1日廃止)


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[…] とくぼみを残す」を同時にやっている加工です。この二面性は、面と面が接触したまま動く軸受の考え方とも共通します。摺動部の設計の考え方はすべり軸受の判断基準で整理しました。 […]